日本人選手の決定力不足の改善方法

現役を終えてから、私も日本に戻って来て9年以上が経ちました。


その中で色々なチームや、スクールや指導者の練習や試合を見させて頂きました。


また私が指導しているTOC英語で教えるサッカースクールや、監督をしている早稲田ユナイテッドでも色々な試行錯誤を繰り返しながら選手達の改善と向きあっています。


皆様々なサッカー論やコンセプトがあり、それも時代によって変わると思いますが、どの時代でも大事なのはやはりゴール前の攻防だと思います。


私の中では相手を3ラインと考えた時に、最終ラインの背後をAゾーンと呼んでいます。
最終的にはAゾーンにボールと人が入らないとゴールは生まれにくく、得点をする事が難しくなります。だからこそ一番ここにボールと人が入るのが難しいのですが・・・
ピッチを3分割する事はエリアを分ける分では良いのですが、私はあまり好きではなくなるべくゾーンでチームには落とし込んでいきます。
1つの理由としては相手のプレッシャーの強度や位置でAゾーンの広さや狭さが変わるからです。


次に最終ラインとMFラインの間をBゾーンと呼んでいます。
このゾーンでもまだ、前を向く事とフリーでボールを貰えるのが難しい状況です。
ただし、一番Aゾーンに近い場所でもあるのでここで選手達を前向きにさせる事が出来ればAゾーンは狙いやすくなります。
大事なのがこの状況を作った時にAゾーンに入る選手が何人いるのかと、パワーとフィニッシュがあるかどうかです。
ゲームを支配出来るようになるとAゾーンへの選手の動きに釣られて最終ラインが下がる場合があります。
相手の最終ラインを下げる事ができればBゾーンからでも十分にゴールを狙えますね。
1つの目安は最終ラインがペナルティエリア外か、内かの違いです。
逆に守備で言うと自分たちの最終ラインはペナ内に入れさせない事です。サイドを突破された時はしようがないですが。


MFラインとFWラインの間をCゾーンと呼んでいます。
ここでボールをキープ出来ないと支配をする事は相当厳しいですね。
ただし、今年の早稲田ユナイテッドは実はここで中々ボールがキープ出来ず本来の中央でキープするサッカーが出来ない状態でした。
そのためフォーメーションを3−4−3に変えて4のワイドにボールを持てる選手と起点になれる選手を置き、目一杯幅を取らせました。
理想的な形ではないですが勝つためにワイドからCゾーンを支配して、そこからBゾーン➡Aゾーン。もしくは一旦Aゾーン➡Bゾーン➡Aゾーンの形を取りました。


そして相手のFWラインのプレッシャーから後ろがDゾーンです。
ここはほぼノープレッシャーなのでここでボールを失っているようでは先が思いやられますね。笑
ボランチの選手がCゾーンで受けれずにDゾーンまで落ちてくると、前への人数が減ってしまうので余程リズムが作れない時以外はなるべくCゾーンに居てもらいます。
ただし、降りて来て簡単に叩いてまたCゾーンに戻る。または降りて来て他の選手がCゾーンのポジションを取るのはオッケーです。


相手が相当なハイプレッシャーで来てない限りAゾーンは広がらないので、DゾーンからAゾーンを狙うのは難しくなります。
やはり確率的に言うとBゾーンからAゾーンを狙うのが一番高いですが、これは相手の守備次第なので幾つかのパターンを考える事が大事だと思います。
Cゾーンでボールを持った時に相手の最終ラインがガンガン狙いに来るのであれば、一気にゾーンを飛ばしてAゾーンも有りだと思います。


今回のW杯最終予選でオーストラリア代表のスタッフとして日本代表の分析をやらせて頂きましたが、ハリルさんは自分たちの弱点を消すのが上手でしたね。
自分達のDゾーン、相手にとってのAゾーンを余りにも脆く取られていたところの改善で最終ラインの選手交代やGK交代、また攻撃時のハイラインのキープ等、試合を重ねる毎に改善が見られたのは凄かったですね。


いずれにせよ、日本が世界で勝つためにはやはりゴール前の攻防とフィニッシュの部分をトップレベルに近づけなければいけません。
私もドイツとスイスでプレーさせて頂きましたが、フィニッシュの精度は違いを感じました。
私はフィニッシュもサッカーも下手でしたが、どうすればこの差を埋めれるのかを指導者になってから色々考えてきました。
根深い問題があると思う教育論やメンタルの部分は一旦置いておき(責任感等)
色々な練習や選手達を観てきて感じた事があります。


これが解決策かどうかはわかりませんが、まず単純にゴールを狙う練習の時間が少ない事です。
先ほども言いましたが、やはりAゾーンに人とボールが入らないと点はなかなか入りません。
そこには相手DFもGKも居ます。ここをどう突破するかを考えての練習時間を割かなければいけないと思います。


そして大事なフィニッシュの部分で何を考えて打つですが、欧米・南米人選手と日本人選手の外し方をプレミアやブンデス、また国際試合で観て違うのを感じませんでしょうか??


欧米・南米人選手のシュートは大抵、相手のGKやDFが止めて入りません。
日本人選手のシュートは枠を外して外れる事が多いような気がします。


あくまで欧米・南米人のシュートは枠をまず捉えてその中でGKをどう外すかの打ち方なのですが、日本人選手のシュートは先にどうGKを外すかを考えているような打ち方に見えてしまい、結果的に枠も外しているような気がします。


また最近ある人と話していて、あーなるほどなと思ったのは上に外す回数も多いという中でリフティングに割く時間が長すぎると。
確かにヨーロッパのチームではサッカーテニスはよくやりましたが、あれは前にボールを蹴るか叩き付けるか、浮かすにしても味方へのパスかクリアをイメージした場合が多いので理に敵ってると思いました。
リフティングはあくまでボールフィーリングとボディーバランスの練習だと私は思っていますので、サッカースクールなどでもやりはしますが、10分を超える事はほぼないと思います。


そして最後にもう1つ大事なのはボールの回転です。
大抵入るシュートは、縦回転、横回転、斜め下回転です。
無回転もありですが。


上回転・バックスピンでもちろん入る時もありますが、確率的にですがこれも枠を超える確率をわざわざ上げてしまっています。


縦回転、横回転、斜め下回転でどれだけ強く、そしてどれだけ精度が高いボールを蹴れるかをトレーニングする事は大事だと思います。
そうすると自然と身体の形や、蹴る時の形がボールがクロスバーを超えない形になっていると思います。


皆それぞれ色々な考えがあると思いますが、私のサッカー観を少しでもシェア出来ればと思いました。


日本がいつかW杯で優勝を出来るようにこれからも日々学んでいきたいと思います。

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